未来市場創造会Blog

製造業のビタミン剤

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なぜ未来市場創造会を始めるのか

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僕は高度成長経済のなかで育ちました。幼い頃は近所にもまだ砂利道があった、そんな時代です。東京にもまだまだ空き地があり、子供たちは遊ぼうと思えばいくらでも遊ぶ場所を探すことができました。まだ戦後の傷跡が少し残っているような時代でした。

だけど、物はないし、体制は整っていませんでしたけど、人は明るい希望を持っていたように思います。そんな雰囲気の中で僕は育ててもらいました。

最近の日本の状況を見回すと、物は豊かになりましたけど、心が豊かかと言えば、あまり胸を張ってそうだとは言えない状況です。ニュースを見れば、子供が自殺したとか、親が子供を殺したとか、聞いただけで悲しくなるような事件が多い。そんな状況を生み出したのは、僕や、少し上の世代であることは間違いないでしょう。そのことを僕は歯痒く感じます。僕らの世代で何かできることはきちんとしていかないと、次世代の人が困ると思うのです。だから僕はそのようなことに関して何かしたいと思っていました。

先日、甲冑パンツで有名になったログインの野木志郎さんに会いました。そしていろいろと話していると、こんなことを言うのです。

「俺は日本の製造業を元気にするために何かしたい」

話がとても大きいので「それ本気?」と聞きました。

「本気やぞ」

「じゃあ何かしよう」ということで、何ができるかわかりませんけど未来市場創造会というものを作ることに決めました。具体的に何をするかはまだ決めていません。10/15に興味のある人に集まってもらって、まずは第一回の会議を開くことだけ決めました。

野木さんの会社はたった数名でやっています。その小さな会社が甲冑パンツの大ヒットを生み出したのです。多くの人は歴女ブームや武将ブームに乗ったものとしか思ってないようですが、話をきちんと聞くと、それはたまたまいいブームには乗ったけど、それをあてにして作ったものではないことがわかります。

野木さんの父親は大手下着会社の下請けをしています。職人気質で下着のことに関してはすべてを知り尽くしているそうです。あらかたの形を見ればその下着をどのように布から裁断すればいいのか、立体に組み上げるためにはどんな形で布を切ればいいのか、すぐに答えてくれるそうです。そんな技術のある父親を見ながらも、販売に関しては大手が握っていますから、どんなにがんばっても下請けが得られる利益はとても低く抑えられてしまいます。それが野木さんにとっては悔しいことだったようです。

2002年、日韓ワールドカップの稲本のシュートを見て、野木さんは「アスリートのための下着を作りたい」と思ったそうです。それ以来、新しいパンツを作るため、5000着もの下着を試着し、何百回となく素材や縫製をやり直させ、ついにどこにもなかった包帯パンツを作り上げます。

このとき、長年見てきた父親に対する思いと、下着業界の現状に対して問題提起をするために、技術の高い下請けの人たちに「あなたの技術を高く買う。だから俺に力を貸してくれ」と言ってお願いしていきました。父親が下着の専門家といえども、まだ無名のおじさんがそう言ったところでなかなか人は集まりません。しかし、野木さんの人望でじわじわと人が集まり、包帯パンツを作り上げるのです。

しかし、見た目は普通のパンツと変わりません。にもかかわらず4000円近くするのです。最初はなかなか売れませんでした。はけばその違いがわかるのですが、わざわざはいてくれる人もなかなか現れません。職人たちを集めた手前、引き下がることはできません。なにしろ野木さんに力を貸した人たちは、下手をしたら大手からにらまれてしまうのですから。これからの下着製造業を革新するために力を貸して欲しいと言ったからには大ヒットを生み出さないとならないのです。

そこで野木さんはもう一歩踏み込んだ、何か売れる新しいパンツを作ろうと考えました。包帯パンツを作るための原点に立ち返り考えたのです。

本当は自分が何をしたかったのか・・・。日本の男の心意気を集めて勝負に出る。下着業界に革命を起こす。

そこでひらめいたのです。男が勝負に出るためのパンツをつくるんじゃと。たまたま以前にいろんなデザインのパンツを考えていたとき、甲冑パンツの原案もありました。それを包帯パンツに施そうとひらめいたのです。

しかし、ひらめいたらすぐにできるという訳でもありませんでした。包帯パンツは通気性がいいので甲冑のデザインをプリントできないのです。何社かに頼んだそうですが、全滅でした。しばらくしてその技術を持つ会社と巡り合うことができました。

甲冑パンツは発売とともに売れ出して、様々なメディアに引っ張りだこになりました。野木さんの苦労が報われたのです。さらに包帯パンツの製法に関して特許が取れました。「包帯」と「パンツ」という一般的な名詞をふたつ重ねただけの名前では普通では登録商標は取れないのだそうですが、なぜか取れてしまいました。

こうして野木さんは大きな成功の下地を着実に固めています。だからこそ、日本の製造業の人たちに同じように成功して欲しいと願っているのです。

急に凄いことができるとは思っていません。ただ、野木さんの思いがたくさんの人に伝わり、日本の製造業全般が以前にもまして勢いを持ってくれることを願っています。そのために何ができるのか、いろんな人の意見を聞きながら、何かしていくつもりです。

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Written by Tsunabuchi Yoji

9月 30th, 2010 at 4:16 pm