未来市場創造会Blog

製造業のビタミン剤

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ダウンシフターズ

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エコロジーに非常な興味を持った友人の竹内滋郎さんにひさしぶりに会い、池袋の居酒屋に連れて行ってもらった。面白いところだからと連れて行かれたその店は「たまにはTSUKIでも眺めましょ」という変わった看板が掛かった居酒屋だった。

「ウーッス。こんちは」

と滋郎さんが入っていくと、ひょろっとした男性が「ああどうも」と答える。入っていこうとしたら靴を脱いでくださいと止められた。

「あ、なるほど」と靴を脱いで上がっていく。店の中はちと暗い。カウンターとテーブルとどっちがいいかと聞かれたが、どっちでもいいと思った。どっちにせよ手を伸ばせば届くような距離なのだ。カウンターに六席、四席のテーブル席が二つ、合計14席の小さな店だった。

滋郎さんが「ここは面白い店なんですよ」とごま塩ひげを撫でながらいうが、まだちとどう面白いのかがわからない。カウンターの向こうにいるマスターはひょろっとしながら「ハハ」と笑っている。客商売をしているにしてはあまりにも自然体で「いらっしゃいませ」とか「どうぞこちらへ」とか、「いや今日はなかなかいい天気ですね」とか、そういう客商売の常套句は一切出て来ない。「ははあ」と不明瞭に返事をすると、滋郎さんが「これだね!」と言って、一冊の本を持ってきた。

「ここのマスターが本を出したんですよ」

差し出された本には「減速して生きる ダウンシフターズ」と書かれている。へえっと思った。しかも刊行が幻冬舎である。居酒屋が自費出版で本を出しているところはある。それだけでもがんばっている居酒屋という感じだが、幻冬舎から出しているというのはお目にかかったことがない。「なんで?」と思った。「ハハ」っと笑ったひょろっとしたマスターはただものではないことがわかった。

本の目次を見て概要はわかった。就職するがその年収を捨て、独立する。年収がほぼ半分になったが、楽しく暮らしているという内容だ。その後、楽しく飲んでうちに帰った。

うちに帰ってその本を読むと、なるほどと思うことがたくさん書かれている。たとえば、ひょろっとした「ハハ」笑いの高坂勝さんは、経営している居酒屋を繁盛させる気がない。なぜなら、自分の暇な時間をきちんと確保したいからだという。なので居酒屋はあまり流行ると困るのだとか。流行って困る店など聞いたことがない。この逆転の発想を実際に彼は生きている。たとえば、サラリーマンだった頃は好きな音楽のために機材などを買ったが、それらを使うことはほとんどなく、ただ「いつか使うもの」として部屋に置きっぱなしだったそうだ。それを今では一台のギターを大事にかき鳴らすことができるようになったという。確かにそれは素晴らしい。そんな素晴らしい話で一冊が埋め尽くされています。

日本は少子化です。みんなそれは知っている。なのに政府はいまでもどうやって景気を上げるのかばかりを話している。もう景気は無理に上げなくても良いのではないか? いまの状態でどう楽しむことができるのかが大切なのではないか?と、この本を読んで思うのでした。

未来市場を作るのも、少し力を抜いてやるってのもありかも。アイデアがよくて、製品が良ければ、ある程度は売れるのだろうから。

たまにはTSUKIでも眺めましょエコブログ

2012年12月15日に以下のイベントをおこないます。

Written by Tsunabuchi Yoji

11月 10th, 2010 at 9:52 am